夏の夢

 

以下3冊を読了。

 

日航123便あの日の記憶 天空の星たちへ

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日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る

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日航123便墜落 遺物は真相を語る

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・読むきっかけ

今年8月10日、ある夢にうなされた。夢の内容は、こんな感じだった。

<乗っている飛行機が墜落。墜落直前に目が覚める。目覚めると、普段の日常であり、夢だった模様。しかし、だれもこの墜落事故の夢を聞いてくれない(母だろうと親友であろうと)。夢の話どころか、自分のことを誰もが無視し、「なかったもの」扱いにしている。なぜだろう、と思っていると、テレビのニュースで飛行機事故のニュースが流れる。自分はその飛行機事故で亡くなっていて、ほかの人に自分の姿は見えていなかった・・・>

 

という夢だった。「夢の中の夢」ほど恐ろしいものはない。おまけに、その翌々日。テレビのニュースから「今年で日航機墜落33年となり、御巣鷹山では本日も慰霊が・・・」といったアナウンスが流れた。夢と現実の境界が崩れたような、そんな寒気がするほど恐ろしい体験だった。あの夢を見る前、なにか飛行機事故について調べていたことも一切なく、なぜあの夢を見たのかもわからない。

 

そこから、あの夢はなんだったんだろう、あの事故はなんだったんだろう、と思い、日航機墜落123便について、ネットを検索していく中でこの本を見つけた。どうも著者は事故当時、日本航空に勤めていた元スチュワーデスさんらしい。

※著者は、はてなブログも作成している模様。

tenku123.hateblo.jp

 

自分が夢を見た理由や原因はわからないが、最近私用で飛行機に乗ったこと、自分の前職は国内への飛行機出張が多かったこと、また出張時はほとんどJALだったこともあり、親近感も湧いて、手に取って読み始めてみた。

 

・感想

世の中には各種の陰謀論があり、突飛なところまでいくと「世の中を支配しているのはイルミナティフリーメーソン」など、そういった話は個人的にかなり好き。そんなことなんてあるわけない、そう思いながらも、最終的には熟読してしまう性格ではある。そんな世にあふれる陰謀論だが、この本は事実をもとに疑問を組み立て、その回答があるかないか、といった方式をとっており、「だから悪いのは●●だ」といった、断定口調になっていない。つまり、いつもの楽しく読む突飛な陰謀論とは性質が全然違う。データをもとにグラフや図、表があったり、参考文献はきっちりしてあったり、書きっぷりは学術論文のまさにそれ。それだけ真摯に書かれている。この真摯さは、最初の1冊目『日航123便あの日の記憶 天空の星たちへ』を読むと理解することができる。『日航123便あの日の記憶 天空の星たちへ』は、亡くなった同僚たちの紹介や、JALキャビンアテンダントが、どのようにして良いサービスを提供するように心がけているのかについて、詳しく書かれている。前職の出張でJALを使っていたときは、いつも「なんでこんなにいいサービスしてくれるんだろ・・・」と、JALキャビンアテンダントの対応に毎度感動していたが、この本を読むとなぜ彼女/彼らが、そういう接客をするのか、少し理解できた気がした(ついでにマイルカードもサファイアまで取りました)。海外旅行で外資航空会社(△航空)を使ったりもしましたが、サービスは当然JALのほうが上でした。デ○タのキャビンアテンダントさんも素敵だったけど・・・比較してしまうとやっぱり致し方ない部分が多く。※SMAPのようなオンリーワンを感じ取れる心がほしい。。

 

それだけプロとして仕事をやっていたことが伝わり、亡くなった犠牲者である先輩方から多くを教わり、当時の著者がキャビンアテンダントとして一人前になっていったであろうことが、本を読むとわかります。だからこそ、これだけ真摯にデータも交え、証言や記録もきっちり取って取材をしているんだろうと感じました。この本を陰謀論だと言うには、それなりに専門知識も必要とするはずです。著者の思いを察するに、この本に記載された疑惑が事実であろうが、なかろうが、真実を追求したいという強い意志を感じます(ほぼ事実ではないか、と感じ取れましたが)。すべては「なぜ、命が奪われたのか」。そこから出発しています。

 

データ、証言だけにとどまらず、本の中での取材を通じて、さまざまな疑惑だけでなく、事故当時のずさんな救助体制が見えてきます。事故当時に米軍が先に墜落機を発見するも、日本側の要請(とされる)により、救出を直前で断念したエピソード。米軍が墜落位置を知りながらも、墜落場所探しをしていた日本政府ならびに自衛隊。なにをやっているのかさっぱりわからない中曽根総理の動静。陰謀論うんぬん以前に、当時の救助体制はまったく整備されていなかったように見えます。未曽有の事故だったのは確かですが、指揮命令系統すらもぐちゃぐちゃです(何のために総理がいるのかわからない)。それについても、日本政府側からは納得のいく回答はない、という痛い事実があります。それは、事故後の事故調査委員会の調査方法や、調査報告書の結論(かなり強引に見える幕引き)も同様です。

 

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以上の動画の14秒あたりを聞くと、機長は「オールエンジン」とは言ってないですよね・・・。どう聞いても。。。「オレンジエア」でしょ。オレンジエアってなんなのといったら、そりゃもう空を飛ぶあれしかないでしょ。。。

 

ここ最近、お世話になった親戚(親戚であり親友でもある)が病気で亡くなったときも、親御さんに挨拶にいったら「亡くなった息子をこれだけ覚えてくれていることが本当にうれしい」と言われた。亡くなってしまった人にとって、本当に亡くなったのは誰からも忘れられたとき、と言うように、この事故についても「忘れないでほしい」という強いメッセージがあったのだろうか。不思議な夏の夢だった。

 

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森永卓郎はあまり好きではないが、元官僚ならではの感想でおおよそ当たってるんじゃないかとのこと。