ラストオブアス パート2

 

【PS4】The Last of Us Part II 【CEROレーティング「Z」】

【PS4】The Last of Us Part II 【CEROレーティング「Z」】

  • 発売日: 2020/06/19
  • メディア: Video Game
 

 

今年最も注目されていたゲームで、名作と言われるラストオブアスの続編。

 

先に言っておくと、ダメだこりゃ。

以下は普通にネタバレ。

 

 

良かったところ

メタルギアソリッドの続編が作られなくなった現代の2020年、ステルスアクションゲームとしては最高峰の出来栄え。ゲーム性だけなら、本当に素晴らしい。開発元ノーティードッグはランボーのゲームを作ったら絶対面白いものできると思う。ノーティーは今作で間違いなく、ここ最近のランボーシリーズの残酷アクション要素を取り入れてると思う。

最後の方はコマンドーランボーのゲームみたいだった(笑)タンクトップでナイフ、マシンガン、弓矢を持って潜入って、もうランボーリスペクトでしかない。

ランボー 最後の戦場 (字幕版)

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  • メディア: Prime Video
 
Rambo: Last Blood [Blu-ray]

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  • 発売日: 2019/12/17
  • メディア: Blu-ray
 

 

何がダメだった?

アクションゲームとしては良かったんだが、最悪なのがどこでも言われてるとおりのストーリー。

発売後に開発者の言い訳めいたインタビュー記事などが上がり、「彼女(主人公)のエゴが裁きをもたらすことに執着するあまり、どん底に落ちるまで目を覚ますことができない。本作はそういったゲームです」とか言ってたらしいが。

復讐はよくない!みたいなストーリーの映画はけっこうある。でもそういう映画を見ていて、「復讐は良くないなぁ」と思う気持ちと、「さっさと復讐しろ」という気持ちが両立する。そもそも殺意が芽生えるほど、大切にしていた人物を殺されたことをきっかけに始まるストーリーなのに、オチで「復讐なんかしても死者は喜びません!」とでも言いたげなストーリー展開を見せられてもね…。しかも主人公は、今作の中で復讐相手の仲間たちをほぼ皆殺しにしてる。若かろうと年寄りだろうと、女だろうと妊婦だろうと、ほぼ全員皆殺し。それが、最後の最後、本当に復讐すべき張本人を前にして、「復讐やめまーす」ってさ。もう主人公は引き返せない修羅の道を歩んじゃってるから、復讐をやめることになんの意味があるのか…?もっともらしい開発者のインタビューもあるけど、はっきり言って脚本がザル過ぎ。

映画セブン的な「すべて失った世の中で、お前だけが生き続けろ」という意味であればわからなくもないが、そういう意味じゃないからなぁ。

 

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前作はストーリーも高く評価されていて、実際にこれからドラマ化がされるそう。それぐらい良いストーリーだった前作と比べると、今回の残念な出来っぷりが酷い。ほら、よくあるじゃないですか。続編で前作の主要キャラを殺して、新キャラで頑張るけど駄作に終わるあのパターン。見事にそんな感じの地雷を踏んでしまったゲームです。

エイリアン3(字幕版)

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  • 発売日: 2014/10/01
  • メディア: Prime Video
 
ターミネーター3 (字幕版)

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  • メディア: Prime Video
 

 

ラストオブアスシリーズはターミネーターシリーズと似た構図で、どちらも人類の救世主が主人公の1人にいて、いざ救世主を専属主人公にしたら、ストーリーはつまらなくなるという。救世主であるが故に、先が読めるとか、死なないことがわかるので、非常につまらなくなってしまう。このジレンマを開始早々の豪腕ストーリーでどうにかしたのが、ターミネーター ニューフェイト だった。

今回のラストオブアス2 はターミネーター3の路線で、救世主を主人公に据えたためストーリーは盛り上がらない。前作で人気、大事なキャラを退場させる。肝心の復讐はしない、またはできないまま終わる。そんな感じなので、前作ファンからのレビュー大荒れ。荒れたくなる気持ちもわかる。そんな感じでどうにもフォローのし難い出来になってます。

あとは、全編を貫く「政治的に正しい」描写。性的にも人種的にもかなり配慮して、登場人物にLGBTもいるし、女性も大活躍だし、人種もアジア人が主要キャラに何人かいたり、政治的にそれはほんとーにほんとーに正しいんだけど、それをこの世界観でやりますか?という疑問。前作は今作のような、くどくどした正しい描写は多くなかったが、マッドマックス、ウォーキングデッドのようなアポカリプス世界を描いた話は、むしろ「政治的に正しくない」描写の方が説得力が生まれる。現代の文明が存在しない、荒廃した世界を描いてるんだから。

ストーリーには大きい嘘はついても小さい嘘はつくな、とはよく言ったもので。

大きい嘘は文明が崩壊した世界だが、小さい嘘は多すぎ。マッドマックス的な「みんなおかしくなった」ような文明が崩壊した世界で。同性愛はあるにしても、アメリカの田舎の白人だらけの隔離地域で、そういったマイノリティは簡単に受け入れられないだろうし、そんな世界にアジア人がひょろっとメインストリームにいることもないだろう。

その辺のリアリティの欠如が全般的にダメでした。マッドマックスの子産み女とか、ウォーボーイズみたいなヤバい雰囲気が前作にはあったが、今作にはそれが足りない。マッドマックス成分というか、コーマックマッカーシーのロード成分というか。

マッドマックス 怒りのデス・ロード(字幕版)

マッドマックス 怒りのデス・ロード(字幕版)

  • 発売日: 2015/09/01
  • メディア: Prime Video
 
ザ・ロード(字幕版)

ザ・ロード(字幕版)

  • 発売日: 2017/06/16
  • メディア: Prime Video
 

 

どうすれば良かった?

世間の酷評レビューではアビー編に大ブーイングですが、個人的にアビー編は気に入っていて。ラストオブアスの世界であえてこれ以上ストーリーを語るなら、アビーなどの新キャラにするしかないというか。前作のジョエルとエリーのストーリーは、前作でほぼ完結してしまっているし、あらためてこの2人をメインで出す必要もなかったんじゃないかと思う。今作は人類の救世主たるエリーが主人公になることで、先が読める感じにもなっていたわけで。

とすると、ここは全編アビー編でやったほうが良かったと思う。最初はこのキャラは誰なのか?と思わせて、徐々にわかる前作とのつながり、前作主人公たちとの因縁、という作りにした方が納得感もある。実際は序盤で早々にアビーが某キャラを殺害するが、これを最後に持ってきたらどうなのかと。イメージで言うと、全編エリー編をアビーに置き換えるかたちに変えて。反対にアビー編は、ジョエルとエリーに置き換えてみる形にすると、おさまりがよくなるはず。アビーに復讐される側になって追い回されて、自らのコミュニティからも敵対してしまうような展開。で、ジョエルもエリーもアビーも殺されないが、最終ステージ後は、ジョエルたち、エリーたち、アビーともに、お互いの復讐によってすべての仲間を失って終わる。。。

 

といった感じにしたら、アビーにももっと共感してもらえただろうし、復讐の無意味さももっと伝わると思うし、何よりキャラをわざわざ死なせることがない(笑)それならジョエルとエリーの続編パート3に期待させることもできたわけじゃん。それだったらまだ受け入れられたと思う。

 

まぁ本当にこの続編は残念ですわ。DLCで購入したからブックオフできないし…。つらい。