テネット

 

Tenet

Tenet

 

 

テネット見ました。ネタバレはありません。

 

ひと昔前だったら、クリストファーノーラン来日会見とかやって、CMでノーランが「ミナサン、テネットミテネッと!」とか言ってたであろう超大作映画です。最近の洋画需要の少なさもさることながら、来日が減っているように感じて日本も貧しくなったなと。


前半と後半の間で「時間の逆行」が始まって以降、ストーリー展開や内容がわからなくなっていましたが、CGなしでジェット機と建物を激突させたりする大迫力アクションが凄かったです。あと世界各地の映像が本当に美しい。

 

ちなみに予告を見て勘違いしていたことがあって、死にかけて特殊能力を得た主人公が「テネット!」と叫ぶと、時間が逆行を始めるのかと思っていたのですが(忍者が「忍!」と言うと、煙と共に消えるような能力かと思っていたのですが)、そういう呪文や掛け声の意味ではありませんでした。両手を挟み込むハンドサインで挨拶する秘密組織みたいです、はい。

 

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↑こんなこといわれたら、テネットが何なのかめっちゃ気になるやん。。。

 

そもそもこの場面以降、登場人物が「テネット!」というシーンは、ほぼありませんでした。なので、序盤で主人公をリクルートした人物が「(テネットを)慎重に使え」と言っていた意味が未だにわからないです。どうやって慎重にテネットを使うんだ?もっと「テネット!テネット!」と、劇中で言って欲しかったです。

テネット!

 

主人公を演じたデンゼルワシントンの息子、ジョンデイヴィッドワシントンの運動神経が凄いです。スタントマンクラスにアクションにキレがあると思ったら、元アメリカンフットボール選手だったんですね。そりゃ身体能力高いわ。そして父譲りのハンサムさと、正義な役がピッタリハマってました。黒人版007なら間違いなく彼だ。

 

そして裏主人公のニールを演じるロバートパティンソン!これは当たり役だろうな〜。見たらみんな好きになるキャラクターです。ノーラン作品で言うと、インセプションのトムハーディーや、ダークナイトのジョーカーに位置するような、切り札キャラで面白いです。パティンソンは2021年公開予定よバットマンも演じるそうで、楽しみです。

 

ストーリー的にも、クリストファーノーランのベストアルバム感があり、話の構成はメメントっぽくもあり、インセプション的なスパイの話であり、ダンケルク的な全体像が見えない没入感のある内容。そして裏テーマはインターステラーとつながっているという。。。

とにかく凄い映画です。この体験をぜひ映画館で。

ラストオブアス パート2

 

【PS4】The Last of Us Part II 【CEROレーティング「Z」】

【PS4】The Last of Us Part II 【CEROレーティング「Z」】

  • 発売日: 2020/06/19
  • メディア: Video Game
 

 

今年最も注目されていたゲームで、名作と言われるラストオブアスの続編。

 

先に言っておくと、ダメだこりゃ。

以下は普通にネタバレ。

 

 

良かったところ

メタルギアソリッドの続編が作られなくなった現代の2020年、ステルスアクションゲームとしては最高峰の出来栄え。ゲーム性だけなら、本当に素晴らしい。開発元ノーティードッグはランボーのゲームを作ったら絶対面白いものできると思う。ノーティーは今作で間違いなく、ここ最近のランボーシリーズの残酷アクション要素を取り入れてると思う。

最後の方はコマンドーランボーのゲームみたいだった(笑)タンクトップでナイフ、マシンガン、弓矢を持って潜入って、もうランボーリスペクトでしかない。

ランボー 最後の戦場 (字幕版)

ランボー 最後の戦場 (字幕版)

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Rambo: Last Blood [Blu-ray]

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  • 発売日: 2019/12/17
  • メディア: Blu-ray
 

 

何がダメだった?

アクションゲームとしては良かったんだが、最悪なのがどこでも言われてるとおりのストーリー。

発売後に開発者の言い訳めいたインタビュー記事などが上がり、「彼女(主人公)のエゴが裁きをもたらすことに執着するあまり、どん底に落ちるまで目を覚ますことができない。本作はそういったゲームです」とか言ってたらしいが。

復讐はよくない!みたいなストーリーの映画はけっこうある。でもそういう映画を見ていて、「復讐は良くないなぁ」と思う気持ちと、「さっさと復讐しろ」という気持ちが両立する。そもそも殺意が芽生えるほど、大切にしていた人物を殺されたことをきっかけに始まるストーリーなのに、オチで「復讐なんかしても死者は喜びません!」とでも言いたげなストーリー展開を見せられてもね…。しかも主人公は、今作の中で復讐相手の仲間たちをほぼ皆殺しにしてる。若かろうと年寄りだろうと、女だろうと妊婦だろうと、ほぼ全員皆殺し。それが、最後の最後、本当に復讐すべき張本人を前にして、「復讐やめまーす」ってさ。もう主人公は引き返せない修羅の道を歩んじゃってるから、復讐をやめることになんの意味があるのか…?もっともらしい開発者のインタビューもあるけど、はっきり言って脚本がザル過ぎ。

映画セブン的な「すべて失った世の中で、お前だけが生き続けろ」という意味であればわからなくもないが、そういう意味じゃないからなぁ。

 

『The Last of Us Part II』“ジョエルがあんなことを言うはずがない” との批判に開発者が反論。『MGS2』から影響を受けたことも明かす(※ネタバレ注意) | AUTOMATON

 

前作はストーリーも高く評価されていて、実際にこれからドラマ化がされるそう。それぐらい良いストーリーだった前作と比べると、今回の残念な出来っぷりが酷い。ほら、よくあるじゃないですか。続編で前作の主要キャラを殺して、新キャラで頑張るけど駄作に終わるあのパターン。見事にそんな感じの地雷を踏んでしまったゲームです。

エイリアン3(字幕版)

エイリアン3(字幕版)

  • 発売日: 2014/10/01
  • メディア: Prime Video
 
ターミネーター3 (字幕版)

ターミネーター3 (字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 

ラストオブアスシリーズはターミネーターシリーズと似た構図で、どちらも人類の救世主が主人公の1人にいて、いざ救世主を専属主人公にしたら、ストーリーはつまらなくなるという。救世主であるが故に、先が読めるとか、死なないことがわかるので、非常につまらなくなってしまう。このジレンマを開始早々の豪腕ストーリーでどうにかしたのが、ターミネーター ニューフェイト だった。

今回のラストオブアス2 はターミネーター3の路線で、救世主を主人公に据えたためストーリーは盛り上がらない。前作で人気、大事なキャラを退場させる。肝心の復讐はしない、またはできないまま終わる。そんな感じなので、前作ファンからのレビュー大荒れ。荒れたくなる気持ちもわかる。そんな感じでどうにもフォローのし難い出来になってます。

あとは、全編を貫く「政治的に正しい」描写。性的にも人種的にもかなり配慮して、登場人物にLGBTもいるし、女性も大活躍だし、人種もアジア人が主要キャラに何人かいたり、政治的にそれはほんとーにほんとーに正しいんだけど、それをこの世界観でやりますか?という疑問。前作は今作のような、くどくどした正しい描写は多くなかったが、マッドマックス、ウォーキングデッドのようなアポカリプス世界を描いた話は、むしろ「政治的に正しくない」描写の方が説得力が生まれる。現代の文明が存在しない、荒廃した世界を描いてるんだから。

ストーリーには大きい嘘はついても小さい嘘はつくな、とはよく言ったもので。

大きい嘘は文明が崩壊した世界だが、小さい嘘は多すぎ。マッドマックス的な「みんなおかしくなった」ような文明が崩壊した世界で。同性愛はあるにしても、アメリカの田舎の白人だらけの隔離地域で、そういったマイノリティは簡単に受け入れられないだろうし、そんな世界にアジア人がひょろっとメインストリームにいることもないだろう。

その辺のリアリティの欠如が全般的にダメでした。マッドマックスの子産み女とか、ウォーボーイズみたいなヤバい雰囲気が前作にはあったが、今作にはそれが足りない。マッドマックス成分というか、コーマックマッカーシーのロード成分というか。

マッドマックス 怒りのデス・ロード(字幕版)

マッドマックス 怒りのデス・ロード(字幕版)

  • 発売日: 2015/09/01
  • メディア: Prime Video
 
ザ・ロード(字幕版)

ザ・ロード(字幕版)

  • 発売日: 2017/06/16
  • メディア: Prime Video
 

 

どうすれば良かった?

世間の酷評レビューではアビー編に大ブーイングですが、個人的にアビー編は気に入っていて。ラストオブアスの世界であえてこれ以上ストーリーを語るなら、アビーなどの新キャラにするしかないというか。前作のジョエルとエリーのストーリーは、前作でほぼ完結してしまっているし、あらためてこの2人をメインで出す必要もなかったんじゃないかと思う。今作は人類の救世主たるエリーが主人公になることで、先が読める感じにもなっていたわけで。

とすると、ここは全編アビー編でやったほうが良かったと思う。最初はこのキャラは誰なのか?と思わせて、徐々にわかる前作とのつながり、前作主人公たちとの因縁、という作りにした方が納得感もある。実際は序盤で早々にアビーが某キャラを殺害するが、これを最後に持ってきたらどうなのかと。イメージで言うと、全編エリー編をアビーに置き換えるかたちに変えて。反対にアビー編は、ジョエルとエリーに置き換えてみる形にすると、おさまりがよくなるはず。アビーに復讐される側になって追い回されて、自らのコミュニティからも敵対してしまうような展開。で、ジョエルもエリーもアビーも殺されないが、最終ステージ後は、ジョエルたち、エリーたち、アビーともに、お互いの復讐によってすべての仲間を失って終わる。。。

 

といった感じにしたら、アビーにももっと共感してもらえただろうし、復讐の無意味さももっと伝わると思うし、何よりキャラをわざわざ死なせることがない(笑)それならジョエルとエリーの続編パート3に期待させることもできたわけじゃん。それだったらまだ受け入れられたと思う。

 

まぁ本当にこの続編は残念ですわ。DLCで購入したからブックオフできないし…。つらい。

 

見た映画

ここ最近映画を見過ぎ。いままで仕事人間な生活からようやく人間らしい生活に戻りつつある。映画鑑賞も大学生時代のペースに戻りそうだ。社会人になってから見れない映画が多かったんだなぁ〜と実感。。Amazonプライム万歳!在宅勤務万歳!

 

・見た映画

韓国映画が熱い。見る映画、見る映画全部面白いってこれどういうこと?

 

「1987 ある闘いの真実」

韓国の民主主義の歴史を知ることができると同時に、一級品のポリティカルサスペンス群像劇。日本と違って、韓国は国民が自らの手で民主主義を勝ち取ってきたことがわかる。すごい映画でした。

1987、ある闘いの真実 (字幕版)

1987、ある闘いの真実 (字幕版)

  • 発売日: 2019/02/06
  • メディア: Prime Video
 

 

 

工作 黒金星と呼ばれた男

韓国ノワール映画「新しき世界」で、全世界の腐女子と情に厚い男たちを熱狂させた「漢気」の塊こと、ファンジョンミン兄貴。彼の新作もまた漢気炸裂で感動した。実話ベースで、かつて金正日にまであった実在の韓国スパイを描いたエスピオナージサスペンス。「新しき世界」と同様に、スリルもあれば友情もある、超渋い一作。

 

 

タクシー運転手 約束は海を超えて

これもまた韓国民主化運動のきっかけとなった、光州事件を描いたドラマ。ソンガンホの、そこらにいそうなおじさん感がいいんです。国に対してデモをする学生に対して、「お前ら親のスネかじっとる分際で偉そうにしよって〜!金稼ぐ苦労知ってからお上に刃向かいな!」と言ってるような、政治思想的には右寄りな感じのおっさんが、韓国史上最悪と呼ばれる国内の内戦に巻き込まれていく…。これも実話ベースで、なおかつエンタメとしてとても面白く。

タクシー運転手 ~約束は海を越えて~(字幕版)

タクシー運転手 ~約束は海を越えて~(字幕版)

  • 発売日: 2018/11/02
  • メディア: Prime Video
 

 

ベテラン

これもまた兄貴ことファンジョンミンのアクションコメディ映画。コメディと言いつつ、アクションはやっぱり韓国映画らしくハード。ファンジョンミンは人情のある役がとても様になる。この映画では財閥の御曹司がやりたい放題で警察にまで圧力をかけているが、これも韓国では似たような事件が実際にあったんだそう。韓国の財閥はヤバい。

ベテラン(字幕版)

ベテラン(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 

 

コクソン

全裸の國村隼が見れると噂の映画。見た後、話の筋がさっぱりわからなかったんだけど、それでもこれは面白かったです。オチに至るまでの謎が解明されず。というか、通常悪役とかが説明するような、ネタバラシ的な説明がなにも無しに映画が終わってしまうことから難解とも呼ばれる本作だが、この映画はそういう謎よりも主人公の身に起きた出来事を体験する映画なんだろうね。最後に線路が無くなるジェットコースターみたいで、怖かったですよ。

國村隼もすごくいい役でした。ネタバレになるので詳しく語れないのが残念ですが、ぜひ一度見てみてください。祈祷師役のファンジョンミンも、楽しそうに踊りながら祈祷していて、めっちゃ笑った。

哭声/コクソン (字幕版)

哭声/コクソン (字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 

洋画

やっぱり映画といえば洋画。

 

バイス

明るく見れる、00年代のアメリカ副大統領のディックチェイニーを描いた伝記ドラマという名のコメディ。まあ出るわ出るわ、外道な行動。アメリカのエリートたちってこんな感じなんだなぁーと幻滅すること間違い無し。顔にタオルを置いて、水をかけて拷問する方法を拷問じゃないと定義するチェイニーはかなりヤバい。あと、ブッシュのメールを全部転送してたり、まぁ悪徳この上ない人だわな。

バイス (字幕版)

バイス (字幕版)

  • 発売日: 2019/10/09
  • メディア: Prime Video
 

 

アップグレード

予告で見て楽しそうだった。実際予告どおりで楽しいんだが、最後の最後でホラーになる。あの展開を受け入れられるか、そうじゃないかで好みが分かれる映画。個人的にはあのオチはうまいんだけど、それが面白いかというと微妙。SAWの監督と知って、なんか納得の展開。

アップグレード (字幕版)

アップグレード (字幕版)

  • 発売日: 2020/05/26
  • メディア: Prime Video
 

 

ジェイソンボーン

キャストも豪華になってアクションも派手になったのに、なんだろうこの蛇足感。一応新たな記憶に関するお話になってるんだけど、なんか微妙だったんだよね。パメラランディもいないし。

ジェイソン・ボーン (字幕版)

ジェイソン・ボーン (字幕版)

  • 発売日: 2016/12/20
  • メディア: Prime Video
 

 

 

わたしは、ダニエルブレイク

万引き家族の是枝監督っぽい。控えめに言って傑作。そして伝わる怒り。コロナ禍のいま、補償が少ない日本政府の対応を経験した日本人は見るべき一作。

わたしは、ダニエル・ブレイク (字幕版)

わたしは、ダニエル・ブレイク (字幕版)

  • 発売日: 2017/09/06
  • メディア: Prime Video
 

 

ジョンウィック2、ジョンウィック3パラベラム

キアヌのガンフーアクションの傑作。1もしびれるガンフーアクションにハートを奪われたが、続編2つもすごい!

3ではザレイドのシラットマスター2人も忍者役で出ており、相変わらずシラットの殺人拳っぷりがカッコ良かったです。ハルベリーと犬のドッグアクションもいいんです。

とはいえ、「続編に続く」は連ドラじゃないんだからやめてほしい。1話で完結してもらいたい物。

 

ジョン・ウィック:チャプター2(字幕版)

ジョン・ウィック:チャプター2(字幕版)

  • 発売日: 2017/12/20
  • メディア: Prime Video
 
ジョン・ウィック:パラベラム (字幕版) (4K UHD)

ジョン・ウィック:パラベラム (字幕版) (4K UHD)

  • 発売日: 2020/02/19
  • メディア: Prime Video
 

 

 

ドゥザライトシング

スパイクリーが若くてびっくりした。最初誰かわからなかった。古典と言われていたが見てなかった一作。近年のブラックライブスマターを予言する内容で、スパイクリーの先見の明に驚く。みんながカメラに向かって差別的な文句を言うシーンとか、「これが本音」って感じだった。大物俳優も若かりし姿で登場して、面白かったです。

ドゥ・ザ・ライト・シング (字幕版)

ドゥ・ザ・ライト・シング (字幕版)

  • 発売日: 2014/01/01
  • メディア: Prime Video
 

 

Us

ジョーダンピールの2作目監督作。1作目のゲットアウト は大傑作と思うが、こちらはそこまで及ばないにせよ、やっぱり傑作だった。有識者によると、実は貧困問題のメタファーなんだとか。序盤で主人公がMJのスリラーのTシャツを着ているんだけど、これが実は伏線になっている。ネタバレしない内容で説明すると、ラストがスリラーのMVの最後と同じ。あの笑い声が聞こえてきそうだった。

アス (字幕版)

アス (字幕版)

  • 発売日: 2020/02/07
  • メディア: Prime Video
 

 

クワイエットプレイス

これ、びっくりするほど面白かった。わりと武闘派な役が多いエミリーブラントが、妊娠中のか弱い奥さん役だったが、やっぱり武闘派になる展開に笑った。静かになればなるほど息苦しくなる、恐ろしい映画。ヒットした理由もわかった。面白すぎるもん。続編も楽しみ。

クワイエット・プレイス (字幕版)

クワイエット・プレイス (字幕版)

  • 発売日: 2019/01/09
  • メディア: Prime Video
 

 

ボーダーライン 、ボーダーライン ソルジャーズデイ

2作連続鑑賞。どちらも傑作。1はカメラワークが最高で、殺人溢れるメキシコ麻薬カルテルのお話にも関わらず、とにかく景色の映像が綺麗。2は1になかった「感情」が全面に出てくる、エモーショナルになった1作。そしてIT企業に勤めるわたしも過去に何度か経験した、デスマーチについてのお話でもある。アメリカもこういうことあるんだね。脚本家のテイラーシェリダンの作るストーリーが良いんだろう。3作目も楽しみ。

ボーダーライン(字幕版)

ボーダーライン(字幕版)

  • 発売日: 2016/08/09
  • メディア: Prime Video
 
ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(字幕版)

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(字幕版)

  • 発売日: 2019/03/20
  • メディア: Prime Video
 

 

ウインドリバー

テイラーシェリダン繋がりで鑑賞。今回は脚本だけでなく、ついに監督も担当したんだとか。ちょう傑作。公開時に見ていたら、問答無用でその年ベスト映画になってた。

話の筋だけだと火サスと対して変わらないけど、それをここまでエモーショナルに描き切る、テイラーシェリダンの手腕。現代のワイオミングに蘇った西部劇。

ジェレミーレナーの抑えた演技もいいし、なによりジョーバーンサルが出番短いのにインパクトある役で出ており、これが本当に素晴らしかった。とても良い演技で、バーンサルの笑顔を思い出して、ちょっと泣きそうになってしまったほど。大傑作。

ウインド・リバー(字幕版)

ウインド・リバー(字幕版)

  • 発売日: 2018/12/04
  • メディア: Prime Video
 

 

 

龍が如く7をクリアしてルーツと向き合う

 

龍が如く7 光と闇の行方 - PS4

龍が如く7 光と闇の行方 - PS4

  • 発売日: 2020/01/16
  • メディア: Video Game
 

 

ついにクリアしました、龍が如く7。

アラは多少あれど、なかなか泣けるストーリーでした。ゲーム的にも、昔ながらのRPGゲーで懐かしい気持ちになりました。昔は当たり前にやっていた、ボスを倒すためにレベル上げをする行為がとても久しぶりで新鮮に感じましたよ。

 

ストーリーは最後まで「伊勢佐木異人町リスペクト」になっていて、どうしたSEGA?と心配になるぐらい伊勢佐木異人町への愛に溢れた終わり方でした。主人公・春日一番の人情味ある性格、国際色豊かな仲間たちとの友情なども心地よく、これは確かに横浜伊勢佐木町そのものだと思いました。本当にこんな感じです。

 

ちょっと話が変わるようだが、つながりのある話。

ここ最近はコロナショックで世の中も大変なことになってきている。コロナウイルスそのものの怖さだけでなく、人の本性を暴き出してしまう点。ここまで無能だったのか安倍政権!という驚きと、芸能人の恐ろしい発言。

 

安倍政権に関しては言わずもがな。布マスク2枚送付とか、他の先進国が行う個人向け現金補償を一切やらないといった、リーダーシップの無さどころか、日々の政権の運営能力の無さが露呈。

芸能人の恐ろしい発言は、岡村隆史の風俗嬢発言。本気でドン引きした。いい年の大人が、自分の稼いだお金で風俗行くことはぜーんぜん自由なんです。好きならどんどん行けばいいと思う。あの発言が恐ろしいのはいい年の男が風俗に行くこととか、女性が風俗の仕事をするといった話ではない。岡村隆史自身が言った通り、「岡村隆史自身が、コロナショックによって経済的に困った美しい女性たちに対して、一時的に風俗嬢の仕事をやることを待ち望み、楽しみにしている」という箇所。

 

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2020/04/27/kiji/20200427s00041000298000c.htm

ここは絶対、何か、何か乗り切れるはずなんですよ。だから、今おもしろくなかったとしても、これ、コロナが収束したら、もの凄く絶対おもしろいことあるんです。ほんで、なかなかね、苦しい状態がずっと続きますから、コロナ明けたら、なかなかのかわいい人が短期間ですけれども、美人さんがお嬢やります。これ、何故かと言うと、短時間でお金をやっぱり稼がないと苦しいですから、そうなった時に今までのお仕事よりかは。これ、僕3カ月やと思っています。苦しいの、3カ月やと思います。3カ月の間、集中的にかわいい子がそういうところでパッと働きます。で、パッとやめます。それなりの生活に戻ったら。だから、コロナ明けた時のその3カ月、3カ月は今まで『えっ?こんな子、入ってた?』っていうような人たちが絶対、入ってきますから。はい、だから今、我慢しましょう。今は本当に我慢して。はい、コロナ明けた時に、われわれ風俗野郎Aチームみたいなもんは、この3カ月、3カ月を目安に頑張りましょう。そのために今、我慢して、風俗に行くお金を貯めておき、そして、いろいろ仕事ない人もアレですけども、切り詰めて切り詰めて、その時の3カ月のために頑張って、今、歯食いしばって踏ん張りましょう。そうしたら、コロナ明けた時に、その3カ月、見てみ?行ってみ?『えっ?こんな子、入ってた?マジっすか』。でも3カ月やで、その子らも。パッてやって、パッとやめるから。それだけはもう、たぶんそうなんじゃないかと。僕は、僕はそれを信じて今、頑張っています」

 

岡村隆史にとっては、これが面白いことで楽しみらしい。

 

先に書いた安倍政権もそうなんだけど、なぜ、彼らはここまで人に対して冷たくなれるのか?

 

緊急事態宣言によって、仕事がなくなる人が増えていく中、なぜ安倍政権は20万以上の現金補償をすぐに行わないのか?

なぜ、100年に1度レベルの死に至る感染症と大不況によって、風俗で働かざるを得ない人を「楽しみ」と思えるのか?

 

 

闇金ウシジマくん (46) (ビッグコミックス)

闇金ウシジマくん (46) (ビッグコミックス)

  • 作者:真鍋 昌平
  • 発売日: 2019/05/30
  • メディア: コミック
 


ウシジマ君はフィクション成分少なめの超リアル路線で描いた、実録日本近代史だ。ウシジマくんの風俗関連エピソードを読んでみてほしい。好き好んで風俗をやる人はあまりいない。これをもっと具体的に言うと、日本は本人の自由意志で風俗を選んだように見せかける世の中になっている、が正しい。それでもなお、岡村のあの発言を擁護できるのか、よく考えてみてほしい。岡村の発言に対して批判すると、「表現の自由を妨げている」「風俗嬢を差別している」といった、表現の自由論、差別反対論を被せてくる奴らがいるが、前に書いた通り、ウシジマくんのエピソードを思い出せばこの反論がいかに詭弁で、どれだけ冷酷な内容なのかがよくわかる。

 

龍が如く7に描かれるのも、水商売や風俗産業がメインとなる。美化されすぎとはいえ、社会の中でのセーフティネットになっている描写がある。実際に伊勢佐木町辺りに住んでいると、本当にどうにもならずに追い込まれた人(DVを受けた人や離婚によって収入がない人など)が、水商売や風俗産業で働かざるを得ない光景をよく目にした。よく目にした、どころではない。それが当たり前の日常として自分の生活に存在していた。当然、好き好んで風俗やりたい、水商売やりたいなんていう人は、あんまり見かけない。向き不向き、好き嫌いもあるだろうが、基本はみんな金のためにやっていた。金があったらやらない人がほとんどです。これが個人の自由に見えますか?そんわけない。

 

龍が如く7はそのあたりがちゃんと描写されていたのでリアリティがあったわけだが、そういう辛い環境に置かれた人の中でのほんの少し芽生える優しさ、プライドみたいなもんが描かれていたわけで。

 

思えば伊勢佐木町近辺のヤクザやホームレスだらけの街で育って、ある時からヤクザが本当に大嫌いになった(それは今も変わらないけど)。もううんざりしてしまって。義理人情だ任侠だなんてのはフィクションの中だけで、実態は金を稼ぐことだけ。

ゲームに出てくる若のように、自分の環境を変える意味で、意地で学歴をつけていったが、気がつけばそれなりの会社に入っても、日本という国の中ではどこも大して変わらなかった。つまり、ヤクザのような生死には関わらないけど、サラリーマンもその内情や振る舞いはヤクザとまったく同じだということ。ヤクザと変わらぬ上下関係、物言わぬ体育会系が重宝される。一見立派に見えるから表からは見えないが、日大アメフト部のような、ああいう体質の会社が日本はまだまだ多い。あの体質で出世だけを考える組織ばかりな訳だから、日本国の大元の安倍政権、日本の官僚の関係も、おそらく似たり寄ったりなんだろう。だから森友学園みたいな事件が起こる。

 

そう考えると、俺が育った街はたしかに犯罪者やはみ出し者の多く、危険な街ではあったが、だからこそ弱者の気持ちをわかる人がとても多かった。日本の中ではみんな弱者であったり、みんな弱い立場にいる人たちだったから。それは女性であったり、外国人であったり。今回の龍が如く7は、そういうこと想い出を思い出させてくれた。

 

安倍政権や岡村のような奴らにどう立ち向かうのか、ということも龍が如く7ではアンサーとしてちゃんと描く。それはチームを組んで団結して戦え、ということ。

 

本当、ちゃんと発言して、ちゃんとした政治家を選ぶことは大事。政治にまで飛躍したが、これはゲームの話。それぐらい素晴らしいストーリーだった龍が如く7。SEGAさん、続編も地元伊勢佐木町をよろしく!

デスストランディング(感想 愛でるノーマンときどきマッツ)

まず思った感想は題名のとおり。ノーマンとマッツ好きのそれぞれのファンの方が遊んだら、舐め回すような2人の映像に、興奮して発狂すると思う。

【PS4】DEATH STRANDING

【PS4】DEATH STRANDING

 

 

日本から生まれた天才ゲームクリエイター小島秀夫の新作ゲーム。本人はかなりのシネフィルとしても有名。

 

文春オンライン小島秀夫

 

前作メタルギアソリッド5では主人公の英語版声優がキーファーサザーランドだったが、今回のデスストランディングはさらに豪華。

声だけでなく、ついに実在の俳優そのものがフルCGとなって登場。出演は、処刑人やウォーキングデッドのノーマンリーダス、007カジノロワイヤルでボンドに金的攻撃した北欧の至宝・マッツミケルセン、同じくボンドガールを演じたりルイヴィトンの広告でもよく見るレアセドゥ、ワンスアポンアタイムインハリウッドにも出演したマーガレットクァリー、シェイプオブウォーターのギレルモデルトロ監督、ドライブのニコラスウェンディングレフン監督、そして往年の女優リンゼイワグナー。なんとも豪華なキャスティング。ここまでの人脈を集めた小島秀夫監督の実績はさすが。それだけの伝説的な人ですから。

 

元々コナミというゲーム会社のゲームクリエイターだったが、本当は映画監督になりたかったそう。過去作を見ても「ハリウッド映画みたいなゲーム」が多かった。ポリスノーツはSF版リーサルウェポン。スナッチャーはやったことないが、ブレランやボディスナッチャー風味らしい。

そして出世作になったメタルギアソリッド

 

メタルギアソリッド インテグラル(BEST)

メタルギアソリッド インテグラル(BEST)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: コナミ
  • 発売日: 2000/04/27
  • メディア: Video Game
 

 

発売日にこのゲームを買ったけど、現実の核問題や軍縮、当時最先端だった遺伝子研究を背景に、プロットは「ニューヨーク1997」「ザロック」のような対テロを描いた特殊作戦もの。それらの映画と同じように、敵陣に単独潜入し、敵に見つからずに任務を遂行する。敵を倒すだけだったゲームの世界に、敵を避けるステルスアクションゲームとして、ゲーム界に革命を起こした。革新的なゲーム性だけでなく、遺伝子によって定められた運命をどう乗り越えるか、限られた人生をどう生きるかといった、自由意志に踏み込んだストーリーがあり、当時遊んだときは幼いながらに感動した。そう感じたのは日本人の俺だけでなかったようで、メタルギアソリッドは世界中で大ヒットした。軍人が見ても驚くほど、最新の軍事情報のディテールも凄かった。本物のアメリカ軍人からの支持も絶大だったらしい。

当時、俺の身近にアメリカ海軍に軍人として在籍していた人がいた。彼はかなりのゲーマーかつ、かなりのシネフィルだったが、最初は日本語版しか発売されなかったため、ストーリーをわからずもゲームだけで進めていた。その間もところどころムービーに表示される軍事用語(例えばMUF=核物質不明量」などの単語)に反応していた。これは軍に詳しい人が作ってるんだな?とよく言っていて。

その1年後、英語吹き替え版のメタルギアソリッドインテグラルが発売したので買ってあげたところ、そいつは大興奮。すごいストーリーだ!!と連日大騒ぎ。そして彼は「無線の周波数はパッケージに書いてある!」に困っていたので、もったいぶった挙句、ネタバラシをしてあげたところ大爆笑。それ以降、「This is Snake. Colnel, Can you here me?(こちらスネーク。大佐、聞こえるか?)」が彼の口癖になったのは言うまでもない。

 

そんなわけでメタルギアソリッドはナンバリングタイトルとして5まで作られるほど、世界的なゲームになっていった。

 

1はSF色がありつつもまだ現実レベルに落ち着いていたが、2はSF色の強いストーリーとなって賛否が分かれた。かくいう自分も、2のストーリーは当時一度だけで理解することが困難だった。難解なストーリーだが、インターネットが当たり前に普及し、TwitterFacebookによって情報がコントロールされ、コントロールされた情報が選挙や思想に影響を与え、その横でAIが日常生活に浸透している現代2020年であれば、2のストーリーは理解しやすいと思う。それぐらい先取りしたストーリーだった。おそらくインターネットが発達してきた2001年当時から、小島秀夫は現代のヴィジョンが見えていたのだと思う。

 

METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY

METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: コナミ
  • 発売日: 2001/11/29
  • メディア: Video Game
 

 

流石に4-5あたりからはSF設定が行きすぎて超能力レベルになってしまい、ストーリーに現実味が無くなってしまったが、現実味を楽しむというより、小島秀夫のメッセージ性が強いテーマ重視のゲームに変化していった。ちなみに3は1960年代を舞台、5は1980年代を舞台にしていて、それぞれが前日譚となっていた。

 

そしてメタルギアソリッド5のあと、小島秀夫が次作として、映画化もされた有名ホラーゲーム、サイレントヒルの新作ゲーム製作が発表された。

サイレントヒル

サイレントヒル

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: コナミ
  • 発売日: 1999/03/04
  • メディア: Video Game
 
サイレントヒル(字幕版)

サイレントヒル(字幕版)

  • 発売日: 2016/02/01
  • メディア: Prime Video
 

 

ギレルモデルトロが共同製作。主演はノーマンリーダス。体験版も配信されていたが、ここで有名なコナミ経営層と小島秀夫の間での確執、トラブルが起きた。このトラブルによって、サイレントヒルの新作企画は潰えた。メタルギアソリッドの続編も永久に中止され、小島秀夫コナミを退社。ファンにとっては悲しい出来事だった。

 

しかし小島秀夫はそんな逆境を跳ね除け、心機一転で会社を立ち上げた。そしてソニーの出資、ギレルモデルトロの支援もあり、本作デスストランディングを豪華キャストで完成させた。このエピソードはネットでよく見かけるので、そちらを参照願いたい。これも小島秀夫の作るストーリー並みに感動する。それだけで一本の映画にできるほどの泣けるストーリーだが、実際のゲーム、デスストランディングもこの実話が反映されたような素晴らしいゲームだった。

 

初めてすぐに安部公房の「縄と棒」の一節が出る。ストーリーの中でも、人は手を握れば相手を拒絶(棒)、手を開けば誰かと繋がること(縄)ができる、という説明があるとおり、そういう世界観のゲーム内容になっていた。小島秀夫コナミを退社したとき、何もないところから独立となったが、今までメタルギアファンだった少年たちが大人になったり、出世したファンの人たちが彼の独立を支援してくれたそう。今回のデスストは、そんな小島秀夫の体験を追体験できるような、人との繋がり=ストランドゲームとなっていた。

 

ゲーム性としても、今までは軍事系アクションゲームだったが、今回はまさかのお使いゲー笑。なんせ主人公は配達人。言ってしまえば、世界の命運を握る荷物を運ぶ、ヤマト運輸や佐川急便みたいな話。でもこれがなぜか面白い。オンライン対応ゲームだが、不特定の誰かと一緒に遊ぶのとちょっと違う。ネット上の不特定のみんなも同じ主人公を操作していて、プレイヤーの数だけ、同じ主人公の多次元が存在するような世界になっている。で、他のプレイヤーが辿った足跡や、置いたアイテムがあり、それを活用することで難所を乗り越える。そういう近からず遠からずな繋がりを持てる。これがとても良かった。で、誰かのそういったアイテムに、Facebookのごとくいいね!もできる。 クリアしても遊び続けたいのは、俺が託したアイテムや、自分のために使ったアイテムが、誰かが使って、その誰かを助けることになるから。この善意の繰り返しが、すごく心地よい。荷物を配達するだけなのに笑

 

今までメタルギアソリッドだけだったので、完全新作はストーリーもとても新鮮。説明することが難しいが、ゾンビ映画のようなデストピアな世界観に、心霊体験と三途の川といった、日本的宗教観を混ぜて、さまざまなSF映画ブレンドした感じ。クリアした今でもまだ完全には理解しきれていない。ややセリフでなんでも説明しすぎるきらいはあるが、それでも父と子というパーソナルな話にオチを持ってくる手腕に脱帽、そして感動。

ぜひぜひ、一度は体験してほしい圧巻のストーリーです。

 

龍が如く7 伊勢佐木異人町の想い出

 

龍が如く7 光と闇の行方 - PS4

龍が如く7 光と闇の行方 - PS4

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: セガゲームス
  • 発売日: 2020/01/16
  • メディア: Video Game
 

 

まだ半分ぐらいしかクリアしていないが、初めて龍が如くシリーズを買いました。というかセガのゲームを買ったことが相当久々だったことにいま気がついた。昔はセガサターンからドリキャスも持っていて、根っからのセガファンだった。ドリキャスシェンムーは大好きで、横須賀生まれだった祖父が、ゲームの映像=横須賀ドブ板通りを見て、再現度に驚いていたのを今でも覚えている。シェンムーカンフー映画みたいなストーリーで、グランドセフトオートが真似したとも言われる元祖オープンワールドでとても面白かった。ストーリーも泣ける感じだった。

 

 

 

今まで龍が如くシリーズに触手が動かなかったのは、任侠ものにあまり興味がなかったから。

今回の龍が如く7も同じ思いだったが、舞台がまさかの地元横浜、しかも伊勢佐木町。ゲーム内では伊勢佐木異人町という名前になっている。これは買うしかないと思って今に至る。

でもヤクザにいい印象がないから避けてきたシリーズなわけで。大抵フィクションのヤクザはなぜか義理人情に厚い正義として美化されて描かれるが、現実世界でそんなヤクザを見たことがない。「なにキレイごと言ってんだろう?」という気持ちしか起きず。たしかに人情味がある人はいるにしても、彼らのシノギ=ビジネスとは「人(主にターゲットは女性)の人生を無茶苦茶にして廃人にし、それでもなお破壊する」というもので、文字どおり「骨の髄までしゃぶり尽くす」。そんな人の道を外れた方々、すなわち外道。正義もクソもない非情さですよ。

前にドキュメンタリーでヤクザと憲法みたいな話があって、その内容はたしか、ヤクザに憲法は適用されていないのか?みたいな、暴対法の厳しい取締りを扱ったドキュメンタリーだった。だが俺に言わせれば、憲法を適用したくないくらい、鬼畜の所業してたよなと思う。簡単に言うとアイリッシュマン的な世界観です。

ヤクザと憲法――「暴排条例」は何を守るのか

ヤクザと憲法――「暴排条例」は何を守るのか

 

 

そんなわけで始めた龍が如く7だけど、これが予想以上に面白くてびっくり。しかもヤクザにいい印象がない俺がやっても、すごい楽しく感じる。地元補正なくても、控えめに言って傑作。楽しい連ドラを見るかのように、ストーリーが気になって、進めるのが楽しくて仕方ない。これはゲームという名のドラマ、いや映画と言っていいレベル。

 

最初は中井貴一が組長役と聞いて、ミキプルーンの優しそうなおじさんが組長なんて、と思ったけどさすが俳優。とても渋い組長さんを演じてます。この変わりっぷりは驚いた。メタルギアソリッドのスネークこと大塚明夫も相変わらず渋くて、かっこいいです。

 

舞台横浜の再現度も素晴らしく、関内で暮らし続けた俺も認めるほどの、驚きの再現度。

かつて私の父親(建築士)が建てたビルもありました。当時は父に「どうだ、俺が建てたビルだすごいだろ!」と言われましたが、どう見てもビルの立地は風俗店案件で、実際に入居したのも風俗店で、「これじゃ友達に自慢できないよ」と当時は思いましたが、今こうして龍が如くに登場したビルとして、ちょっと誇れるようになりました(笑)

チンピラに絡まれるゾーンも、わりかしリアルでした(笑)子供の頃から伊勢佐木町のゲーセン通いが日課で日々入り浸っていましたが、格ゲーしていたらリアルファイトにも一触即発みたいな光景もよく見ました。他には、他店よりゲーム代金が安いけど、立地がビルの地下にあり、行ったら絶対にカツアゲされると言われた、怪しいゲーセンも伊勢佐木町にかつてありました。

あと、さっきまで遊んでたゲーセンが小宮悦子の夕方ニュース番組で紹介され、麻薬の取引現場として放送されたり。、え、いつのまにか麻薬取引してたの?!ずっといたけど??!という驚き。

 

でも龍が如くのゲーム内で絡まれるより、今の時代の現実の伊勢佐木町はもっと安全ですw あと、ホームレスはカツアゲしないし、昔のホームレスにはたしかに当たり屋がいたけど、カツアゲするのは見たことない。いまは年老いたホームレスしかいないから、当たったら普通にあの世に昇天するからなのか、当たり屋は激減、というかいないです。そもそもホームレスは基本平和主義者ばかりで、保険もなく医療機関にも行かない人が、暴力をふるうリスクも取りません。

ゲーム並みに危なかったのは20年以上前。いまはだいぶ平和になりました。昔はこのゲームみたいにけっこう絡まれたんじゃないかと。昔は族が伊勢佐木町歩行者天国を占拠してることもあったし、ヤクザの銃撃事件もあった。

紅白に出場し日本を代表するストリートミュージシャンとなった某シンガーソングライターも有名だが、彼らは路上演奏していた時代、母校の中学校のジャージを着て演奏していたことは有名。この中学校は、ヤンキー進学校の強豪としても有名で、昔ここの生徒にカツアゲされました(笑)だからあの恐ろしい時代の伊勢佐木町で、たった2人で路上ライブするなんてやたら勇気あると思ったら、母校が強豪校、そういうカラクリだったんすよ…。

ゆず ソングス in Prime

ゆず ソングス in Prime

  • 発売日: 2018/08/31
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

ゲーム内では伊勢佐木異人町と呼ばれる通り、私の数少ない親友も韓国、中国、フィリピンなど多国籍。親友はお金持ちの子どもが多かったが、ゲームの中では身寄りのない移民二世の受け皿として水商売があると描かれていた。これは現実で、未だにそういう所は多い。ゲームの中でも、白と黒に分けられない、グレーなところで生きる人々が描かれるが、伊勢佐木町近辺に住む人にとって、グレーな世界は日常だ。かつての飲食店形態の風俗店、赤線地帯はなくなったが、それでも万引き家族のような世界観はまだ残っているのが伊勢佐木町だ。

万引き家族

万引き家族

  • メディア: Prime Video
 

 

伊勢佐木町近辺は笑点の故・桂歌丸師匠の地元でもある。歌丸師匠も実家は風俗の元締めとかだったと思う。

 

桂歌丸 大喜利人生 笑点メンバーが語る不屈の芸人魂

桂歌丸 大喜利人生 笑点メンバーが語る不屈の芸人魂

  • 作者:日本テレビ
  • 出版社/メーカー: ぴあ
  • 発売日: 2018/12/18
  • メディア: 単行本
 

 

歌丸師匠は人情味溢れる落語家として有名だが、伊勢佐木町も恐ろしい側面を持ちながらも、実は人情味溢れる街でもある。俺はこの街の人の優しさに救われることが何度もあった。どんな職業だろうが、どんな国籍だろうが、なぜか人情味のある人が多い、そんな不思議な街。ゲーム内でも、性格の悪いソープ店長が実は人情味ある優しい人だったエピソードがあるが、あんな感じで一見リアリストでキツイんだけど、実は優しい人が多いのが伊勢佐木町近辺の人々の特徴です。そんな伊勢佐木町の良い特徴をよく見つけてしっかりよく描いている、本当にいいゲームだと思います。これからも楽しみに進めますよ!

2019年ベスト

早いものでもう2020年。いろいろとお世話になりました。本年もよろしくお願いします。

 

と言うわけで、2019年の映画ベスト。

順不同。

 

 

 

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ Blu-ray2枚組

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ Blu-ray2枚組

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2019/12/18
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

 

Terminator: Dark Fate

Terminator: Dark Fate

  • アーティスト:Original Soundtrack
  • 出版社/メーカー: La La Land
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: CD
 

 

「アイリッシュマン」オリジナル・サウンドトラック

「アイリッシュマン」オリジナル・サウンドトラック

 

 

 

見た映画の本数はおそろしく少ない1年だったが、これほど傑作揃いな年はなかなかないと思った。すごく良い映画ばっかりで、見るたびに感動したり、心にグッとくるものがあった。今年の印象は「哀愁」。ひたすら渋い映画が多かった。

 

アリースター誕生はレディガガの歌声と、ブラッドリークーパーのミドルエイジクライシスな鬱描写に衝撃。素晴らしい歌声に圧倒されるんだけど、イーストウッドばりの鬱展開な感じで、哀愁漂う渋い映画に。

 

ゴジラ KOMは、前作のギャレスエドワード版ゴジラが、オリジナル第1作目に準じたわりと真面目な作りで、それはそれでよかったんだけど、個人的に小さいときから馴染みがあったのは平成ゴジラシリーズ。昔は東宝系列の映画館があって、いつも仮面ライダーゴジラが上映されていた。ほぼ毎年公開されていた平成ゴジラシリーズだったが、今思い出せばわりとおバカ路線直行な内容で、当時おバカだったキッズの私も楽しんで見ていた。ゴジラ VSデストロイヤーで、一旦毎年の上映が無くなってしまったが、あれから20何年。こうして100億円以上投下してアメリカ軍の現役兵器全面協力な感じで、平成ゴジラシリーズをリブートしてくれたことはとても貴重。頭空っぽにして見てました。続編も楽しみです。

 

ワンスアポンアタイムインハリウッドは、「ザ・タランティーノ」な一作で、これで映画監督引退も囁かれる一作。引退にはふさわしい、タラちゃんが大好きなものを詰め込んだゴージャスな一作。ノレる人にはノレるが、ノレない人(具体的には60〜70年代のハリウッド映画に興味がない人)にはまったくノレない映画。そしてそれはタランティーノ映画のいつも通りなんですが…。ライムスター宇多丸だったか、町山智浩だったかがタランティーノにインタビューした話で、劇中のデカプリオの焦りは、タランティーノ本人の焦りが投影されているらしい。昔ながらの映画制作が通用しなくなってきた時代のお話で、現代のタランティーノもきっと思うところがあったんでしょう。とはいえやっぱりこれだけ本作も大ヒットさせるんですから、これからも好きなものに真っ直ぐに、面白い映画を作り続けて行ってほしい(切なる願い。

 

ジョーカーはまさかの怪作。この映画の立ち位置は1999年のファイトクラブみたいな感じ。奇しくも20年後の2019年にまたしても傑作ができた。ストーリー自体はわりとよくある話というか。そもそもの骨組みは、タクシードライバーキングオブコメディにインスパイアされたというだけあって、ありがち。それでも、世の中の社会常識や価値観を試すような、心理実験されているような、見る毒薬といってもいい映画。いろいろな解釈ができる映画でもあり、見た人によって映画の伝えたいメッセージがまったく変わる、鏡のような映画。そんな数あるテーマの中で、中核となる一つテーマは思いやりの欠如、共感の欠如、そして自己責任が蔓延した世の中を描いた話ということ。

思えば仕事でも私生活でも、「自己責任」という言葉を当たり前に聞くようになったけど、この言葉ほど為政者にとって都合いい言葉はない。そう言われたら議論も止まるし、議論するつもりのない言葉だ。これがいいなら、もう全部自己責任じゃない?という負の無限ループ、思考停止になる。そんな世の中で狂気に飲み込まれ、拳銃で暴走する男の話がジョーカー。なかなか怖い話。

 

ターミネーター ニューフェイトは、まさかのランクイン。正直、開始早々の展開とかは未だに受け入れがたいけど、それでも今まで作られたT2以降のターミネーターの中では一番面白かった。もしかしたら期待値がかなり低かったから、その反動なのかも?笑 ノンストップアクションの連続で、新キャラがかっこいいアクションしつつ、シュワちゃんとリンダハミルトンが横から渋くサポート。これがなかなか良かったっす。売れてはないけど、評価はそんなに悪くないのは納得。

 

アイリッシュマンは、スコセッシのベストアルバムとも評されていたが、見たらいやいや全然、ベストどころか完全新作じゃないっすか、という内容で。クイーンで例えるなら、イニュエンドウに近い感じ。もしかしてスコセッシのラストアルバム?みたいな趣きで。しかも今までのスコセッシ映画のイケイケ構成(ウルフオブウォールストリートのバブリーな描写を見てほしい)に比べて、ずったりずったりのんびり構成。しかしその分哀愁、渋さが全マシチョモランマ級。見た後はもうお腹いっぱいになる、見るラーメン二郎みたいな映画でした。

スコセッシはマーベル映画はシネマじゃない発言が尾を引いてますが、この人はラーメン二郎の店主みたいなもんで(⇦勝手な妄想)、最近流行の女性ウケの良い、油少なめの優しい味のラーメン屋について、「ガッツリじゃなきゃラーメン屋じゃない、ニンニク入れますか?」と言っているようなもんだと思うと、わかりやすいかもしれません(わからない)。

スコセッシは決して間違ったことは言ってないんだけど、世の中にはいろんな映画、いろんなラーメンがありますよ、という結論になりがちなニュースだったんですが、それでもやっぱり俺はマーベル映画より、スコセッシ映画、優しいラーメンよりラーメン二郎が好き。

脱線しましたが、ちゃんと順位をつけるならアイリッシュマンが1位になる出来だったと思います。スコセッシはやっぱり凄いです。見た後になんらかの傷が心のできてしまうような、そんな胸にグサッとくる映画をスコセッシは今までもよく撮ってきたわけで。

アイリッシュマンを見たあとは、「ゴジラ KOMや一部のマーベル映画みたいな、口開けてボケーっとさせられる映画もシネマだけど、これが本当のシネマなんだよ、坊や」と、スコセッシ言われたような気になりました。

アルパチーノもまさかの熱演。もう近年は「過去の遺産で食ってるんて」感ありありの省エネ演技で、定年退職後にコンビニでバイトするおじさん感覚な出来が多かったアルパチーノですが(タランティーノのワンスアポンアタイムインハリウッドにも出てましたが、いわれなきゃアルパチーノだと気がつかないステルス感でした)、本作アイリッシュマンはかつてのギラついた、俺たちが恐れたあのアルパチーノがついに復活。アルパチーノといえば主役級映画では突然名演説シーンをかますシーンがあることでも有名ですが、今回もちゃんとアルパチーノの演説ありました。

そしてなんといってもジョーペシ。半ば引退だったところを、デニーロが必死に説得して出演させたとのことですが、もう全編にわたって円熟のいぶし銀演技で、すっかり魅了されました。グッドフェローズ、カジノでの狂犬キャラブチギレ演技で名を馳せた氏ですが、今回のアイリッシュマンでは、自分で誰かを殺めたりしない「手を動かさない」ボスで、決して怒鳴ってキレないけど、もっともワル〜いやつを見事に演じてくれていて、素晴らしかったです。

 

2020年も良い映画を見ていきたいです。