トップガンマーヴェリック

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2019年あたりからずっと順延していてすでに2022年。ようやく見ることができた。

 

前作にまったく思い入れがなく、『トップガンマーヴェリック』を見に行く日の朝に、急いで前作をAmazonプライムビデオで予習したぐらい。実際、前作は「うーん、80年代!」という感じで、評判よりも微妙、わりと展開もモッサリした感じで、つまらなくはないがまあまあだった。

 

そんなわけでいざ、続編の『トップガンマーヴェリック』を見に行った。

 

これは、期待値を100億倍超える超絶、超超超(×100億回)大傑作で、傑作の多いトムクルーズのキャリアの中でも「ベストオブベスト」な出来だし、数年前に『マッドマックス 怒りのデスロード』が前評判を覆して傑作だったような、そういう類の伝説的な映画だ。

個人的にいえば、デスロードよりも明るい話で、こっちの方が好き(もちろんデスロードもブルーレイ持ってるほど好きなので、簡単に比較はできないが)。

世の中のいろんな映画は、娯楽や芸術であると同時に、ビジネスでもある。なので、お金のために続編がよく作られる。どれも一定水準以上だが、オリジナルを超えられない事のほうが多い。

つい先週も『マトリックスレザレクションズ』を見たが、それなりに面白かったけれども、前三部作の否定や内輪ネタなどが多く、ファン心理を逆撫でする内容で、期待してなかったとはいえ、製作者の主張ばかりで残念ではあった。

なので、映画でオリジナルを超えたのは、先のデスロードであったり、『エイリアン2』『ターミネーター 2』などがあるが、今作『トップガンマーヴェリック』は、それらの成功した続編に肩を並べた。内容と興行、どちらも成功した続編映画として、今後語られるだろう。

 

見た人が泣いてる声をよく聞くが、前作にまったく思い入れのない俺が見ても、今作は涙が止まらない展開が多かった。前作を見ているからこそ、そうなるのかもしれない。前作を見ていなくても楽しめるが、事前に見ていると感動がさらに倍になる感じがした。

 

 

少し前に日本のドラマで『半沢直樹2』が流行っていて、俺もよく見ていた。出演者が変顔する顔芸コントで笑わせるドラマでありつつ、半沢直樹の真っ直ぐな主張、ライバルだった人も仲間となり、世のため人のために生きる姿に心は打たれた。半沢直樹にはこんなセリフもある。

 

仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れたとき、人は自分のためだけに仕事をするようになる。自分のためにした仕事は、内向きで卑屈で醜く歪んでいく。

 

大企業にいるからいい仕事ができるわけじゃない。どんな会社にいても、どんな仕事をしていても、自分の仕事にプライドを持って日々奮闘し、達成感を得ている人のことを、本当の「勝ち組」というんじゃないかと俺は思う。

 

トップガンマーヴェリック』を貫くテーマや背景は、このセリフに近い。そしてさらにトムクルーズの「老い」も含めて泣かせにかかる。

 

トムクルーズがなぜそこまでして、自ら製作をしたりスタントも自前でやったり、CGよりも実写アクションにこだわるのも、すべては自分の限界に挑戦する劇中のマーヴェリックのような気持ちもあるだろうし、その根底には徹底したファンサービス、サービス精神や映画愛であり、映画のプロフェッショナリズムなんだと思った。

劇中もマーヴェリックは「戦闘機パイロットなんて過去の遺産、ドローンに取って代わる絶滅危惧種であり、お前に未来はない」と、上官にイヤミも言われる。これは今、映画館よりもストリーミングサービス主流のトムクルーズの立場そのもの。

そしてマーヴェリックが旧友に語る、「パイロットはただの仕事じゃないんだ、俺自身なんだ」というセリフも、職業俳優トムクルーズそのものだった。

 

こういう感じで自分の境遇を語りつつ、ですよ!それでいて「俺が歳食って辛くて、、、」と独りよがりにならず、若手を教えたり、かつてのライバルに華を持たせたり、エンディングは前作監督に追悼したりして、「俺が好き勝手に生きていられるのは、周りの人達のおかげ」というメッセージを送るトムクルーズの優しさ、強さに、もう涙しか出ないっす。

若手生徒などの脇役たちも劇中で光りまくるのも、こういうところがあるからなんだろう。ライバルのヴァルキルマーの出演にも、心を打たれた。昔はイケイケ兄さんだったヴァルキルマーが、こんなに丸くなって、暖かい眼差しができる俳優になったなんて思ってもなかった。自身の病も含めて、涙なしには見られないシーン。

 

本作の良いところは戦闘機に入ってIMAXで撮った大迫力の凄さもしかり(必ずIMAXシアターで見ること!!!!)、ドラマの良さもしかり、控えめに、とても抑えて言って、、、ちょっとここ20年で見た事がない完成度の映画でした。

エンディングのレディガガの曲が入るタイミング、そのレディガガの曲の歌詞、トニースコット追悼のメッセージ、その全てが完璧すぎた。

 

あと何回映画館で観に行こうか。ブルーレイももちろん買うが、これは映画館で何回でも見たい。劇場公開はいずれ終わるって?

そうだな、知ってる。だが、今日じゃない。